臨床成績:胆道癌
ペマジール錠の有用性と副作用対策
ペマジール錠の有用性と治療継続の工夫
ペマジール錠の有用性及び治療継続の工夫について解説します。
(解説・監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵)部長 上野誠先生)
胆道癌の治療継続を目指したペマジールの副作用対策
一眼障害·高リン血症·爪障害を中心に一
ペマジール錠の副作用対策について解説します。
(解説・監修:山口大学医学部附属病院腫瘍センター 准教授 井岡達也先生)
国際共同第II相試験(FIGHT-202試験:日本人を含む海外データ)
承認時評価資料:国際共同第Ⅱ相試験(INCB 54828-202試験)
Abou-Alfa GK, et al. Lancet Oncol. 2020; 21 (5): 671-684.
本試験はIncyte社の資金提供のもと実施され、著者に同社より研究費、コンサルタント料を受領している者及び同社の社員が含まれる。
試験概要
ペマジールの適応となるコホートAの結果のみを掲載する。
奏効率(ORR)【主要評価項目】
コホートAにおけるIRC判定に基づく腫瘍評価のORRは35.5%(95%CI:26.50, 45.35)であり、事前に規定した閾値(ORRの95%CIの下限値が15%超)を達成しました。奏効と判定された患者の内訳はCR3例(2.8%)、PR35例(32.7%)でした。
ORR及び最良総合効果(BOR):コホートA、有効性評価可能集団
CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定、PD:進行
a RECIST v1.1に従い、BORとしてCR又はPRが得られた患者
b 95%CIは二項分布に対する直接確率検定に基づき算出した。
c 評価不能の3例は、ベースライン後の腫瘍評価が試験参加中止により未実施(2例)、
及びSD評価の最小期間(投与開始から39日以上経過)以前の評価(1例)であった。
標的病変の径和の最大変化率【その他の評価項目】
コホートAにおけるIRC判定に基づく腫瘍評価が行われた103例中91例(FGFR2融合遺伝子を有する患者:77例、FGFR2遺伝子の再構成を有する患者:14例)に標的病変の径和の縮小が認められ、4例(融合及び再構成各2例)で100%の縮小が認められました。
標的病変の径和のベースラインからの最大変化率のwaterfall plot:コホートA(103例)
IRC判定でベースライン時に測定可能病変が認められ、かつベースライン後に少なくとも1回の適切な腫瘍評価が行われた患者(103例)
注:黄色部分の上限はPDの基準(標的病変の径和の20%以上の増大)を示し、下限はPRの基準(標的病変の径和の30%以上の縮小)を示す。
奏効持続期間(DOR)【主要な副次評価項目】
コホートAで奏効が確定した38例におけるIRC判定に基づくDORの中央値は7.49ヵ月(95%CI:5.65, 14.49)でした。
DORのKaplan-Meier曲線:コホートA、有効性評価可能集団
注:RECIST v1.1に基づくIRC判定でCR及びPRが確定された患者
病勢コントロール率(DCR)【その他の副次評価項目】
コホートAにおけるIRC判定に基づくDCRは82.2%(95%CI:73.7, 89.0)でした。また、50例(46.7%)でSDが本剤の初回投与から39日以上維持されました。
DCR及びBOR:コホートA、有効性評価可能集団
a BORとしてCR、PR又はSD(初回投与日から39日以上経過した時点において測定値がSDの基準を満たす)を達成した患者
b 95%CIは二項分布に対する直接確率検定に基づき算出した。
無増悪生存期間(PFS)【その他の副次評価項目】
コホートAにおけるIRC判定に基づくPFSの中央値は6.93ヵ月(95%CI:6.18, 9.59)でした。
PFSのKaplan-Meier曲線:コホートA、有効性評価可能集団
全生存期間(OS)【その他の副次評価項目】
コホートAにおけるOSの中央値は21.06ヵ月(95%CI:14.82, NE)でした。
OSのKaplan-Meier曲線:コホートA、有効性評価可能集団
NE:評価不能
コホートAにおける安全性
<副作用>
副作用は107例中101例(94.4%)に認められ、主な副作用は脱毛症60例(56.1%)、高リン血症54例(50.5%)、味覚不全47例(43.9%)、下痢44例(41.1%)、口内炎39例(36.4%)、口内乾燥及び疲労各37例(34.6%)等でした。
<重篤な副作用>
重篤な副作用は107例中4例(3.7%)に認められ、内訳は貧血、腹痛、嚥下障害、急性腎障害及び血栓症各1例(0.9%)でした。
<投与中止に至った有害事象>
投与中止に至った有害事象は107例中5例(4.7%)に認められ、内訳は腸閉塞、胃腸出血、胆管閉塞、高ビリルビン血症、対麻痺及び急性腎障害各1例(0.9%)でした。本剤と関連ありと判断された事象は、高ビリルビン血症及び急性腎障害各1例でした。
<死亡に至った有害事象>
死亡に至った有害事象は107例中3例(2.8%)に認められ、内訳は成長障害2例(1.9%)、胆管閉塞1例(0.9%)でした。本剤と関連ありと判断された事象はありませんでした。